「西尾市で製造業の仕事を探しているけれど、どんな会社があるのかわからない」「自動車部品以外の仕事もあるの?」「未経験でも入れる工場はあるのか」——こうした疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
西尾市は愛知県西三河地区の南部に位置し、アイシン・デンソーといった大手自動車部品メーカーの工場が立地する一方、鋳造・金属加工を得意とする中小企業や、一色うなぎで知られる食品加工まで、幅広い分野の製造業が根付いているエリアです。2011年に幡豆郡(幡豆町・吉良町・一色町)と合併して現在の広域市となり、三河湾に面した臨海エリアも含む自然豊かな工業都市でもあります。
この記事では、西尾市の製造業の産業構造や働く魅力、どんな人に向いているのか、そして実在する企業情報まで、仕事探しに役立つ情報をまとめていきます。
西尾市の製造業の特徴|鋳造の集積地として知られる「ものづくりのまち」
西尾市はかつてから「西尾の鋳物」として知られ、鋳造や鍛造、切削研磨など金属加工技術を持つ企業が多く集積してきました。自動車産業の発展とともにその規模は拡大し、現在では大手グループ工場と地元中小企業が共存する製造業の集積地となっています。
自動車部品メーカーの工場が集まるエリア
西尾市にはアイシン・デンソーなどトヨタグループの大手部品メーカーが複数の工場を置いています。エンジン関連部品やダイカスト製品、自動車用エアコン・ラジエーターなど、幅広い自動車部品の生産拠点が市内に点在しています。
デンソーは2024年に西尾市内の善明製作所敷地を拡張し、次世代型の新工場を建設するなど、今後も大きな設備投資が続くエリアです。大手工場には安定した受注量と整備された研修体制があり、製造業未経験者でも入社しやすい環境が整っています。
鋳造・金属加工の中小企業が多い
西尾市の特徴のひとつは、「西尾市鋳物工業協同組合」を中心とした鋳造・金属加工の中小企業の集積です。鋳鉄製品や鋳造アルミ部品を製造する企業が多く、工作機械部品・油圧機器・自動車用鋳物など多品種に対応しています。
技術を要する複雑な形状の鋳物でも対応できる高い技術力が特徴で、国内外にオリジナル製品を供給する企業も存在します。
タイヤコード・繊維製品などの素材産業
自動車や電子部品だけでなく、東レハイブリッドコードのようなタイヤコード・産業用繊維製品の製造拠点も西尾市に集まっています。自動車の安全性を支えるタイヤの補強材など、目立ちにくいながらも欠かせない素材産業が産業基盤を下支えしています。
西尾市の自動車部品メーカー|アイシン・デンソーの大規模拠点
西尾市の製造業でまず規模が目立つのが、トヨタグループの自動車部品メーカーの生産拠点です。アイシンは市内に4つの工場を、デンソーは2つの製作所を構えています。本社は隣接する刈谷市にありますが、実際にモノを作る現場は西尾市内にあるという関係です。もう1社、アイシン機工は本社そのものが西尾市吉良町にあり、開発や管理の職種も市内で完結します。
株式会社アイシン 西尾機関工場・西尾ダイカスト工場|愛知県西尾市のアルミダイカスト拠点
刈谷市朝日町に本社を置く、自動車部品とエナジーソリューション関連機器のメーカーです。資本金450億円、従業員数は単独34,956人・連結113,292人(2026年3月31日現在)。東京証券取引所プライム市場に上場しています(証券コード7259)。連結子会社は国内外で186社にのぼります。
西尾市内には西尾機関工場・西尾ダイカスト工場(南中根町小割80番地)、城山工場(小島町城山1番地)、吉良工場(吉良町友国松下155番地)と4つの工場があります。市内でも指折りの規模です。西尾ダイカスト工場では、乗用車用オートマチックトランスミッション(A/T)の生産量拡大に対応するため南棟を増築し、2017年8月に稼働を開始しました。2018年3月までに全7ラインが稼働する体制となり、A/T用トランスミッションケースなどのアルミダイカスト部品を手がけています。溶かしたアルミを金型に流し込む鋳造の現場が、大規模な設備で動いているのがこの工場の特徴です。
本社所在地: 愛知県刈谷市朝日町二丁目1番地(西尾機関工場・西尾ダイカスト工場:愛知県西尾市南中根町小割80番地)
主な事業: 自動車部品、エナジーソリューション関連機器の製造販売
公式URL: https://www.aisin.com/jp/
株式会社デンソー 西尾製作所・善明製作所|愛知県西尾市の電装・電子制御部品拠点
1949年創業、刈谷市昭和町に本社を置くトヨタグループの電装部品メーカーです。東京証券取引所プライム市場に上場しています。電装部品・熱機器・センサー・電子機器など、クルマの電気まわりを広く手がけており、自動車部品業界では国内トップクラスの規模にあたります。
西尾市内には西尾製作所(下羽角町住崎1)と善明製作所(善明町)の2拠点があります。2024年9月には、善明製作所の敷地を拡張して大規模統合ECUの新工場を建設すると発表しました。総投資額は約690億円、2027年1月の竣工と2028年度上期の生産開始を計画しており、自動化技術を組み合わせた24時間稼働の工場を目指すとしています。ECUは電動化製品や高度運転支援システム(ADAS)を制御する頭脳にあたる部品で、鋳造や機械加工とは毛色の異なる、電子部品の組立・検査に近い仕事が中心になります。
本社所在地: 愛知県刈谷市昭和町1-1(西尾製作所:愛知県西尾市下羽角町住崎1)
主な事業: 電装部品・熱機器・センサー・電子機器の開発・製造・販売
公式URL: https://www.denso.com/jp/ja/
アイシン機工株式会社|愛知県西尾市吉良町の変速機部品メーカー
1992年7月のアイシン豊容とエィ・ダブリュ機工の合併調印を経て、1993年1月にアイシン機工株式会社として発足しました。公式の会社概要では、設立を前身企業の1956年6月1日としています。1994年に吉良第1工場が竣工し、1998年8月に本社機能を吉良工場へ移しました。資本金41億円、売上高871億円(2025年度実績)、従業員数2,730名(男2,368名・女362名)。主な株主は株式会社アイシンとアイシン開発株式会社です。
手がけているのは自動車用自動変速機の機能部品と、駆動・機関系の部品です。製品にはハイブリッドトランスミッション用部品・電動駆動ユニット用部品とAT用部品があり、電動化が進んでも仕事が残る領域に軸足を移していることがわかります。1997年にデミング賞実施賞を受賞し、2016年には技能道場を開所するなど、品質管理と技能教育に力を入れてきた会社でもあります。本社が市内にあるため、製造現場だけでなく管理・技術系の職種でも西尾市で働ける可能性があります。
本社所在地: 愛知県西尾市吉良町友国池上70番地6(本社・吉良工場)
主な事業: 自動車用自動変速機機能部品、自動車用駆動・機関系部品の製造
公式URL: https://aisin-kiko.jp/
西尾市の鋳造・金属加工・素材メーカー
「西尾の鋳物」と呼ばれてきた地場の鋳造・金属加工と、タイヤの補強材をつくる素材メーカーです。4社とも本社が西尾市内にあり、大手の工場とは働き方の性格が異なります。従業員20名台の会社から380名規模の会社まで幅があり、少人数の職場で複数の工程に関わるか、量産設備の一角を担うかを選べます。
寿金属工業株式会社|愛知県西尾市のアルミ鋳造メーカー
1953年2月20日設立。本社・西尾工場を法光寺町北山1に置き、資本金6,600万円、従業員数382名です。本記事で紹介する地場企業のなかでは最も規模が大きい会社で、型工場のみ碧南市浅間町にあります。
手がけているのは自動車用アルミニウム合金鋳造部品です。金型にアルミを高速で射出するダイカストによる量産品から、砂型鋳造・重力鋳造を使った単品・少量の製品、さらに鋳造後の切削加工までを自社で行っています。量産と少量生産の両方の鋳造法を持っているため、同じアルミ鋳造でも工法ごとに現場の性格が異なり、配属によって覚える技術の方向が変わります。鋳造・加工・検査と工程が連なっているぶん、職種の選択肢も広めです。
本社所在地: 愛知県西尾市法光寺町北山1
主な事業: 自動車用アルミニウム合金鋳造部品の製造(ダイカスト・砂型鋳造・重力鋳造・切削加工)
公式URL: https://www.kotobukikinzoku.co.jp/
株式会社中根工業|愛知県西尾市の鋳物メーカー
1995年(平成7年)3月28日設立。羽塚町西新田に本社を置く、資本金1,000万円・従業員数20名の会社です。本記事で紹介するなかでは最も人数の少ない会社にあたります。
事業は鋳物の製造で、主要取引先にはオークマ株式会社やブラザー工業株式会社といった工作機械メーカーが並びます。工作機械の土台や構造部品には、振動を吸収する鋳鉄の塊が使われます。自動車部品のような大量生産とは違い、機械1台ごとの部品を確実に仕上げる仕事です。20名という人数で工程が分かれていないぶん、型づくりから鋳込み、仕上げまでを近い距離で見ながら覚えられる環境といえます。
本社所在地: 愛知県西尾市羽塚町西新田19-1
主な事業: 鋳物製造(工作機械向け部品ほか)
公式URL: https://nakane-foundry.co.jp/
株式会社三協鋳造所|愛知県西尾市の銑鉄鋳物メーカー
1952年9月に合資会社として設立され、1957年5月に株式会社へ組織変更しました。資本金1,000万円、従業員数24名。西尾市鋳物工業協同組合と日本鋳造協会に所属する、地元の鋳物産業の一員です。拠点は鋳造を行う本社工場(平坂町奥背戸、敷地1,200坪)と、後処理を担う山下工場(山下町西八幡山、敷地800坪)の2か所に分かれています。
製造しているのは銑鉄鋳物で、工作機械向けの部品・付属品が中心です。生産品目の構成は工作機械部品が95%、金型定盤類ほかが5%と公表されており、工作機械という一つの分野に絞って技術を積んできた会社であることがわかります。主要取引先にはヤマザキマザック・オークマ・アマダといった工作機械メーカーが並びます。なお2025年2月には、M&Aにより影山グループへ加入しました。鋳込みと後処理で工場が分かれているため、どちらの工程を担当するかで作業の内容が変わります。自動車部品とは客先も製品も異なるので、「愛知の製造業=クルマ」という枠の外で働きたい人には選択肢になります。
本社所在地: 愛知県西尾市平坂町奥背戸2-1
主な事業: 銑鉄鋳物の製造、工作機械向け部品・付属品の製造
公式URL: https://www.sankyochuzosho.co.jp/
東レハイブリッドコード株式会社|愛知県西尾市のタイヤコード・産業用コードメーカー
1961年12月14日に東洋タイヤコード株式会社として設立され、1971年8月に東レ株式会社100%出資の関係会社となりました。2014年4月1日に現在の社名へ変更しています。上矢田町神明寺の本社工場が国内唯一の生産拠点で、ほかに大阪営業オフィスがあります。資本金1億円、従業員数120名(2023年4月1日現在)。東レの完全子会社にあたります。
主力はタイヤコード事業と産業用コード事業です。タイヤコードはゴムの内側に埋め込まれてタイヤの形を保つ補強材で、完成品の外からは見えないものの、安全性を左右する部材です。産業用コードでは自動車用ホースの補強コード、抄紙用フェルトの芯体コード、伝導ベルト用コード、電気資材用コードなどを手がけています。ほかにカーペット用パイル糸事業やカットファイバーなどの新事業も持ちます。2015年にタイへ販売拠点、2016年に製造会社を設けており、繊維系の素材メーカーとして海外にも展開しています。
本社所在地: 愛知県西尾市上矢田町神明寺3番地
主な事業: タイヤコード、産業用コード、カーペット用パイル糸の製造・販売
公式URL: https://www.toray-hybrid.com/
西尾市の製造業は「大手工場と職人技術が共存するものづくりの街」
西尾市は、デンソー・アイシンといった大手自動車部品メーカーの工場から、「西尾の鋳物」として知られる地場の鋳造・金属加工企業まで、規模や業種の異なる製造業が集まるエリアです。一つの産業に依存せず、素材・部品・食品加工など多様なものづくりが共存していることが、この街の大きな特徴です。
「安定した大手工場で長期的に働きたい」という方から、「職人的な技術を身につけてキャリアを積みたい」という方まで、志向に応じた選択ができる環境が整っています。未経験から挑戦できる職場も多く、移住者向けの寮を備えた企業も存在するため、転職や新しい生活のスタート地点としても現実的な選択肢になります。
まずは気になる企業の公式サイトや求人情報を確認し、仕事内容・勤務形態・生活環境を具体的にイメージしてみてください。自分の状況や優先順位を整理したうえで選ぶことが、長く働き続けられる職場探しの第一歩になります。