「日進市で製造業や食品の仕事に就きたいけれど、市内にどんな会社があるのか分からない」——そんな悩みを持って検索してきた方は多いのではないでしょうか。日進市は豊田市や刈谷市のように工場が密集する「ものづくりの街」ではなく、名古屋市と豊田市に挟まれた住宅都市というイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、市内には全国的に知られる食品ブランドの生産拠点があり、地元に本社を置いて長年ものづくりを続けてきた優良メーカーも存在します。名古屋や豊田への通勤圏でありながら、市内で働くという選択肢も十分に現実的なのです。
この記事では、日進市の街としての特徴から、製造業・食品産業の実態、働くうえでの魅力や職種、よくある疑問まで、これから日進市で仕事を探す方に向けて分かりやすく整理しました。
日進市ってどんな街?名古屋と豊田に挟まれた住宅都市
日進市は愛知県のほぼ中央に位置し、名古屋市東部・長久手市・みよし市・東郷町と隣接しています。名鉄豊田線と名古屋市営地下鉄鶴舞線が相互直通運転をしており、市内から名古屋都心まで電車で約35分とアクセスが良好です。同時に豊田市方面へも近く、名古屋・豊田どちらへの通勤も現実的な立地といえます。
人口は約9.4万人で、近年も増加傾向にあります。愛知学院大学をはじめとする大学が立地する学園都市としての顔も持ち、若い世代が多く住む街です。東名高速道路のインターチェンジにも近く、車通勤のしやすさも日進市で働くうえでのメリットのひとつです。
こうした立地条件から、日進市は「働く場所」というよりも「暮らす場所」としてのイメージが先行しがちですが、市内・近隣を含めて考えると、決して仕事の選択肢が乏しいわけではありません。
日進市の製造業・食品産業の特徴
日進市は豊田市・刈谷市のように工場が密集する産業集積地ではありません。ただし、市内には大手食品ブランドの生産拠点や、地元に本社を構えるメーカーが実際に立地しています。
代表的なのが、乳酸菌飲料でおなじみの愛知ヤクルトの工場です。工場見学を受け入れるなど地域に開かれた生産拠点として知られています。また、コンビニエンスストア向けのおにぎり・弁当・惣菜を製造するわらべや日洋 名古屋工場も市内に立地しており、日々の暮らしを支える食品を製造しています。
製造業では、テレビ受信機器やセキュリティ機器を手がけるマスプロ電工が日進市に本社を置いています。また、可鍛鋳鉄やアルミダイカストを製造する中央可鍛工業のように、トヨタグループで働くにつながる自動車部品サプライヤーが市内で事業を続けているケースもあります。
さらに、造園工具などの開発を手がける企業の事業所が米野木町にあるなど、本社は市外にあっても日進市を開発・生産の拠点としている企業も見られます。
市内の既存の企業団地(米野木町の研究開発地区、藤島町の機織池地区)はすでに満杯となっており、新たな企業を受け入れる余地は限られています。一方で日進市は2023年4月から産業立地促進奨励金制度を設け、新たな産業用地の開発も検討されており、今後の企業誘致に力を入れている段階にあります。つまり日進市は「今すでに工場が集まった街」ではなく、「これから伸びていく可能性を持つ街」と捉えるのが実態に近いでしょう。
日進市で製造業・食品の仕事に就くメリット
工場が密集する街ではないからこそ見えてくる、日進市ならではの働きやすさがあります。通勤の自由度から企業風土まで、具体的に見ていきましょう。
市内勤務と名古屋・豊田通勤を選べる立地
名鉄豊田線・地下鉄鶴舞線で名古屋都心まで約35分、豊田市方面へもアクセスしやすく、市内勤務にこだわらず通勤先の選択肢を広げられます。
東名高速や幹線道路で車通勤しやすい
東名高速道路のインターチェンジに近く、周辺道路網も整っているため、公共交通機関に頼らず車で通勤できる企業が多いのも特徴です。
全国区ブランドの生産現場で働ける安心感
愛知ヤクルトのように多くの人が知っている食品ブランドの生産拠点で働けることは、仕事の意義を実感しやすいポイントです。
地元本社メーカーで腰を据えて働ける
マスプロ電工のように日進市に本社を置く企業では、地域に根差した企業風土のもとで長く働き続けやすい環境が期待できます。
日進市の製造業・食品でよくある職種と働き方
食品ブランドの生産拠点から地元メーカーまで、日進市で募集されている職種は幅広く、経験や希望する働き方に応じて選択肢があります。代表的な職種を見てみましょう。
製造ライン作業・検品・梱包
食品工場のライン作業や部品の組立・検品、出荷前の梱包作業など、未経験からでも始めやすい現場作業です。マニュアル化された工程が多く、初めてのものづくりの仕事としても取り組みやすい分野です。
機械オペレーター
生産設備の操作・監視を行う仕事で、製造ラインの安定稼働を支える役割です。現場作業からステップアップして、経験を積みながら専門性を高めていける職種です。
製造技術・品質管理
生産工程の改善や製品の品質チェックを担う仕事で、ものづくりの現場を裏側から支える専門職として位置づけられています。自動車部品や電子機器のように精度が求められる製品ほど重要性が高い役割です。
研究開発・設計
新製品の開発や既存製品の改良に携わる仕事で、地元メーカーの技術力を支える中核的な役割を担います。長年ものづくりを続けてきた企業ほど、蓄積された技術やノウハウに触れながら成長できる環境があります。
食品工場のパート・アルバイト
食品工場では早朝勤務や交代制シフトが組まれていることもあり、家事や子育てと両立しながら自分の生活スタイルに合わせて働き方を選べる求人もあります。
こんな人に向いている
ここまで見てきた日進市の街の特徴・企業・職種を踏まえると、次のようなタイプの方には特に相性の良い選択肢だといえます。
地元・近隣で腰を据えて働きたい人
日進市やその周辺で長く暮らしながら働きたいと考えている方に、地元密着の企業は魅力的な選択肢になります。
未経験から製造・食品の仕事を始めたい人
製造ラインの現場作業は研修体制が整っている企業も多く、未経験からのスタートを歓迎するケースが見られます。
ものづくりや食に関心がある人
実際に手を動かして製品や食品が形になっていく過程に関わりたいという人には、やりがいを感じやすい仕事です。
名古屋通勤と地元勤務を天秤にかけている人
名古屋・豊田方面への通勤もしやすい立地のため、市内勤務と広域通勤の両方を比較しながら仕事を選びたい方にも合っています。
日進市の主な企業|食品・電子機器メーカー
日進市に本社を置く企業や、市内に主要な生産拠点を構える企業を、業種別に2つに分けて紹介します。まずは、全国ブランドの飲料を生産する工場と、電気・電子機器を手がける3社です。
株式会社愛知ヤクルト工場|愛知県日進市藤枝町の乳酸菌飲料工場
日進市藤枝町にある、ヤクルト本社グループの乳酸菌飲料の生産拠点です。生産品目は「Newヤクルト」「ヤクルト400」「ヤクルト400LT」で、毎日多くの人が口にする商品がこの工場から出荷されています。名前を知らない人がいないレベルの全国ブランドの製造現場が、住宅都市である日進市の中にあるのは、この街の産業を語るうえで欠かせない特徴です。
工場見学を受け入れているのも特徴で、会社概要と商品説明、自工場で生産している製品の試飲、そして実際に「ヤクルト」を生産している工程の見学がプログラムに組まれています。就職・転職を考えている人にとっては、応募する前に製造現場の雰囲気を自分の目で確かめられる数少ない企業だといえます。名鉄豊田線「日進駅」から徒歩約30分・タクシー約10分、東名高速道路「東名三好」出口からは車で約15分の立地です。
本社所在地: 愛知県日進市藤枝町前田5番地
主な事業: 乳酸菌飲料(Newヤクルト・ヤクルト400・ヤクルト400LT)の製造
公式URL: https://www.yakult.co.jp/visit/factory/c07.html
マスプロ電工株式会社|愛知県日進市浅田町のテレビ受信機器メーカー
1953年8月、創業者の端山孝氏が名古屋市守山区小幡の自宅で「マスプロ技研工業」を創立したのが始まりです。1955年9月に昭和電機工業株式会社を設立し、1961年7月にマスプロ電工株式会社へ社名を変更、1966年9月に本社を愛知郡日進町(現・日進市)へ移転しました。以来60年近く日進市に本社を構えている、市を代表するメーカーです。資本金は10億円、社員数は532名(男性422名・女性110名、2026年3月31日現在)です。
事業の柱はテレビアンテナ・ブースター・分配器などのTV受信関連機器です。ほかにも衛星受信・通信機器、地上デジタル放送用ギャップフィラーなどの放送中継機器、セキュリティー機器を手がけています。さらにRFID・LPWAを使ったIoTソリューション機器、CATV機器とその工事まで扱っています。開発・製造・販売に加えて工事の設計・施工まで自社で担っているため、技術職から総合職まで職種の幅が広いのが特徴です。2020年2月には日進市と、セキュリティーカメラシステムやRFID・LPWAのIoT機器を活用した子育て支援等の事業連携に関する協定を締結しており、地元との結び付きも強い企業です。
本社所在地: 愛知県日進市浅田町上納80番地
主な事業: TV受信関連機器・衛星受信機器・放送中継機器・セキュリティー機器・IoTソリューション機器の開発、製造、販売、CATV工事
公式URL: https://www.maspro.co.jp/
ミヤ電子株式会社|愛知県日進市折戸町の電子基板実装メーカー
1979年1月に名古屋市天白区池場で個人事業として創業し、1984年9月に資本金500万円でミヤ電子株式会社を設立しました。1986年10月に株式会社メルコ(現・株式会社バッファロー)との取引を開始し、1998年5月に日進市藤枝町へ日進工場(現・藤枝工場)を新設。2006年4月にM&Aで静岡県浜松市の株式会社ビルコートへ事業を継承し、2008年10月に日進市折戸町梨子ノ木へ本社工場を新設して本社を移転しました。資本金1,000万円、従業員数は285名(2025年5月現在)です。
主軸は電子基板の実装です。国内初導入という超特大の大型基板(1230mm)の実装や微小電子部品の実装、ラジアル・アキシャル部品への対応まで幅広く手がけています。さらに自動はんだ付けロボット、超音波溶着、レーザー加飾、工業用インクジェット印刷といった加工技術も備えています。近年は上流の設計・部品調達、下流の出荷物流業務にも領域を広げました。パソコン周辺機器、家電、自動車やオートバイのランプ、住宅用インターホン、LED灯具など身近な製品の中身を支える「製造パートナー」としての立ち位置を明確に掲げている会社です。日進市内には本社工場・第二工場のほか藤枝工場と三本木倉庫があり、市内に複数の勤務地があります。
本社所在地: 愛知県日進市折戸町梨子ノ木41-5
主な事業: 電子基板実装、設計・部品調達、超音波溶着、レーザー加工、工業用インクジェット印刷、出荷物流
公式URL: https://www.billcourt.co.jp/group/miya-electronics/
日進市の主な企業|自動車部品・金型メーカー
続いて、自動車産業を支える部品・樹脂・金型の3社です。いずれも日進市に本社を置き、トヨタグループをはじめとする完成車・部品メーカーと取引を続けてきた企業です。
荒川工業株式会社|愛知県日進市米野木町の自動車部品メーカー
1941年6月に荒川尚一氏が名古屋市南区で個人企業として創業し、1944年2月に法人化して荒川工業株式会社となりました。戦後は愛知機械工業・三菱重工業・デンソーなどの協力会社として自動車部品や農機具の製造に携わり、1985年には市内3工場体制まで拡大。手狭になったことから1988年5月に3工場を集約して愛知郡日進町(現・日進市)へ移転しました。資本金8,250万円、売上高152億円(2024年度実績)、従業員数357名(2024年4月現在)で、市内の製造業としては大きな規模を持ちます。
手がけるのはエンジン周りのターボ部品・吸排気系部品・潤滑冷却系部品、トランスファユニットやトランスミッション部品といった駆動系部品、ブレーキドラムなどです。加えて、専用工作機械や加工・検査治具を自社で設計・製作する工機部門を1972年から持っているのが特徴で、部品を作るだけでなく「作る設備そのものを作る」仕事があります。主要取引先はアイシン、アイシン高丘、ジヤトコ、GKNドライブラインジャパン、三菱自動車工業、三菱重工エンジン&ターボチャージャなど。近年は微細気泡発生装置など水道関連機器にも取り組んでいます。
本社所在地: 愛知県日進市米野木町北山226番地
主な事業: 自動車用動力系・駆動系部品の製造、専用工作機械・加工/検査治具の設計・製作・販売、水道関連機器の開発・製作・販売
公式URL: https://arakawa-industry.co.jp/
株式会社ハイテックレジン|愛知県日進市岩藤町の樹脂成形メーカー
1984年に日進市岩藤町でハイテックレジンを立ち上げ、プラスチック試作品の製造から事業を始めました。翌1985年に有限会社へ組織変更(設立1985年4月5日)、みよし市を経て1994年に日進市岩藤町へ本社工場を新設して戻り、2004年に株式会社ハイテックレジンとなりました。2005年には岐阜県土岐市に土岐工場を設けたほか、フィリピンにも2つの工場を持っています。資本金1,000万円、従業員数は66名です。
事業はFRP/ABSの試作と少量生産、樹脂型(真空成形型・FRP成形型)の製作、プラスチック製品の塗装、そしてエアロパーツの製造・販売です。1995年には低圧ウレタン材によるエアロパーツの量産化を日本で最初に実現し、2001年からは自社ブランド「Akea」も展開しています。主要取引先はトヨタ自動車GRカンパニー、トヨタテクノクラフト、トヨタモデリスタインターナショナル、小島プレス工業など。量産ラインの繰り返し作業とは違い、試作・少量生産が中心のため、一つひとつ形の違うものを手がけたい人に向いた職場です。
本社所在地: 愛知県日進市岩藤町七ツ塚619-1
主な事業: FRP/ABS試作・少量製作、樹脂型製作、プラスチック製品塗装、エアロパーツの製造・販売、自動車部品の製造・販売
公式URL: https://hitech-resin.co.jp/
株式会社山田製作所|愛知県日進市北新町のプレス金型メーカー
1967年2月に名古屋市守山区で「山田鉄工所」として創業した企業です。1970年に有限会社山田製作所へ組織変更、1979年に守山区大森元郷へ工場を移転し、1983年に株式会社山田製作所を設立しました。現在は日進市北新町に本社を構えています。資本金1,000万円、従業員数は16名と、この記事で紹介するなかでは最も小さな規模の会社です。
業務内容はプレス金型の設計と、順送型と呼ばれるプレス金型の製造に特化しています。順送型は1つの金型の中で送り・曲げ・抜きといった複数の工程を連続して行う金型で、量産部品のコストと精度を左右する重要な技術です。主要取引先は高木製作所、フタバ産業、三五、FTS、フクタカ、岩田工業。少人数の会社なので分業が細かく分かれておらず、設計から製作まで一連の流れに関われる可能性が高い環境です。公式サイトでは若手従業員の育成に積極的に取り組む姿勢を掲げています。
本社所在地: 愛知県日進市北新町北鶯150-8
主な事業: プレス金型(順送型)の設計・製造
公式URL: https://www.yamad-eng.co.jp/
地元にも堅実な働き口がある街
日進市は名古屋市と豊田市に挟まれた住宅都市であり、豊田市や刈谷市のような製造業の一大集積地ではありません。しかし、愛知ヤクルトやわらべや日洋のような大手食品ブランドの生産拠点、マスプロ電工のように日進市に本社を置くメーカーが実際に立地しており、身近な場所で堅実に働ける環境が整っています。
名古屋・豊田への通勤アクセスの良さと、市内で働く選択肢の両方を持ち合わせているのが日進市の強みです。名古屋方面への通勤か、地元での勤務か——自分の暮らし方に合わせて仕事を選べる街だといえるでしょう。
企業団地は満杯である一方、市は産業立地促進奨励金制度を設けるなど、これからの企業誘致にも力を入れています。今すぐの求人だけでなく、今後日進市で新たに生まれる働き口にも注目しながら、まずは気になった企業の採用情報を調べるところから、自分に合った仕事探しを進めてみてください。