愛知県あま市で製造業への転職・就職を考えたとき、「食品工場はきつい」「金属加工は危険で汚れる仕事」――そんなイメージを思い浮かべる方は少なくないかもしれません。立ちっぱなしの単調な作業、油や粉塵にまみれる現場、不規則なシフト。転職や就職を考えるとき、こうした不安から製造業を選択肢から外してしまう方も少なくないはずです。
しかし、愛知県あま市に目を向けると、そのイメージとは少し違う景色が見えてきます。あま市は名古屋駅から電車で20〜30分というアクセスの良さを持ちながら、七宝焼という伝統工芸から続く「ものづくりのまち」でもあります。市内には創業数十年から100年を超える老舗企業が多く根付いており、食品と金属という二つの産業が地域経済を支えてきました。
この記事では、あま市の製造業の成り立ちや特徴、食品工場・金属加工工場それぞれのリアルな働き方を紹介します。あわせて未経験や30〜40代からの転職可能性についても、求職者の不安に寄り添いながら解説します。イメージだけで判断する前に、あま市の製造業の実際を知っていただければと思います。
① あま市ってどんな町?名古屋20分、七宝焼の伝統が息づくものづくりの町
あま市は2010年に七宝町・美和町・甚目寺町の3町が合併して誕生した、人口約8.8万人のまちです。名古屋市の西側に隣接し、都市部への通勤圏でありながら、旧町ごとに異なる産業の顔を持っています。
名古屋駅まで乗り換えを含めても20分弱、通勤しやすい交通アクセス
あま市は名鉄津島線でつながっており、市内で須ヶ口駅に最も近い甚目寺駅から乗車し、須ヶ口駅で名古屋本線に乗り換えると名古屋駅まで最短20分弱でアクセスできます。乗り換えのない直通列車を利用しても30分程度で到着します。駅や列車の種類によって所要時間には幅がありますが、いずれにしても通勤の負担が少ないエリアです。また東名阪自動車道の名古屋西ICや名古屋高速の千音寺IC、名古屋第二環状自動車道(名二環)も市内・周辺に位置しており、車通勤にも対応しやすい立地といえます。稲沢市・清須市・愛西市など隣接エリアの製造業に関心がある方は、あわせてチェックしてみるとよいでしょう。
七宝焼から続く「金属のまち」の歴史
あま市の七宝町地区は、江戸末期の1833年に梶常吉によって伝えられたとされる技術を起源とする「尾張七宝」の産地です。平成7年には国(経済産業省)から伝統的工芸品に指定されており、現在も会社・個人合わせて約10軒がこの伝統を受け継いでいます。金属を素材に精緻な意匠を施す七宝焼の技術は、あま市における「金属×ものづくり」の文化的なルーツともいえる存在です。
産業誘導地区の整備で企業誘致が進む今のあま市
あま市では方領地区・丹波地区・篠田地区・下田地区・伊福地区の計5つを産業誘導候補地として設定し、企業誘致に取り組んでいます。伝統的な地場産業に加え、今も新たな企業の立地が進んでいる、変化を続ける町でもあります。
② あま市の製造業の特徴|食品と金属、二つの老舗産業が根付く理由
あま市の製造業は、大きく分けて「食品」と「金属」という二つの柱で成り立っています。いずれも旧町の産業構造を色濃く受け継いでおり、創業から数十年、なかには100年を超える老舗企業が中心となっているのが特徴です。
味噌・醤油・精肉など老舗が多い食品産業
旧七宝町エリアを中心に、味噌・醤油の醸造、精肉・食肉加工、菓子製造といった食品関連の老舗企業が集積しています。明治期に創業した醸造蔵から、地域の飲食文化を支える精肉加工業まで、地元に根ざした事業を長年続けてきた企業が多く見られます。
自動車部品・精密金型で高い技術力を持つ金属産業
旧美和町エリアを中心に、自動車部品や精密金型を手がける金属加工企業が集まっています。なかには航空宇宙分野の品質マネジメント認証(JISQ9100)を取得し、航空機業界向けの部品製造にも携わる企業もあります。単なる「量産の下請け」にとどまらない高い技術力を持つ企業が、このエリアで存在感を放っています。
③ 食品工場は本当に「きつい」?あま市の老舗企業に見るリアルな働き方
「食品工場は立ち仕事で単調、シフトもきつい」というイメージを持つ方は多いかもしれません。しかしあま市の食品関連企業を見ると、老舗ならではの分業体制や安定した事業基盤があり、イメージだけで判断するのはもったいない側面もあります。
味噌・醤油造りの仕事内容と一日の流れ
味噌・醤油の醸造は、原料の仕込みから発酵・熟成の管理、製品化のための搾りや詰め作業まで、複数の工程に分かれています。あま市には尾張地方で唯一、味噌と醤油の両方を仕込む「未醤蔵」を持つ明治7年創業の醸造蔵もあります。こうした企業では、伝統的な製法を守りながら分業体制で仕事を進めているのが特徴です。工程ごとに担当が分かれているため、未経験者でも一つひとつの作業を覚えながら仕事を進めやすい環境です。
一日の流れとしては、朝は前日から仕込んでいる原料や発酵中のもろみの状態確認からスタートします。日中は熟成の進み具合に応じた撹拌・温度管理、搾りや詰めといった製品化の作業を担当するのが一般的な流れです。気温や湿度によって発酵の進み方が変わるため、マニュアル通りにこなすだけでなく、五感で微妙な変化を見極める場面もある仕事です。
精肉・食肉加工の仕事はどんなイメージ?
精肉・食肉加工の仕事は、原料の仕分けやカット、加工、パック詰めといった工程が中心です。あま市には創業から60年ほどの歴史を持ち、精肉・ホルモン加工を手がけながら名古屋市内で飲食店運営も兼業する企業もあります。加工だけでなく飲食店への卸や自社での提供まで携わる企業もあり、食品づくりの川上から川下までを経験できる環境も存在します。
食品工場で働くメリット
工程が分業化されており覚えやすい
仕込み・発酵管理・加工・出荷といった工程ごとに担当が分かれているため、未経験でも一つずつ業務を覚えていきやすい環境です。
地域に根ざした事業の安定感
創業から数十年〜100年を超える老舗企業が多く、地域の食文化を長年支えてきた事業基盤があります。
季節や需要に応じたリズムのある仕事
醸造や加工には季節・工程ごとの繁閑があり、単調な作業の繰り返しだけではないメリハリのある働き方ができます。
食品工場での働き方についてさらに詳しく知りたい方は、愛知県の食品メーカー一覧もあわせてご覧ください。
④ 金属加工・自動車部品工場は「危険・汚い」?安全対策と技術力の今
金属加工と聞くと、「騒音や油の匂いがきつそう」「怪我のリスクが心配」といった不安を抱く方も少なくありません。実際には、あま市の金属加工企業の多くが高精度・高付加価値な分野へのシフトを進めており、設備や安全管理の面でも近代化が図られています。
精密金型・自動車部品づくりの仕事内容
あま市の金属加工企業では、自動車の重要保安部品の製造や、1000分の1ミリ単位の精度が求められる精密金型の製作が行われています。大面積の素材を成形するプレス加工など、加工内容は多岐にわたります。図面の読み取りや機械の操作、仕上がりの検査といった工程を通じて、ものづくりの精度を支える仕事に携わることができます。
設備・安全対策はどこまで進んでいる?
市内には航空宇宙分野の品質マネジメント認証(JISQ9100)を取得している企業があります。あま市を含む中部地域は、国が指定する「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」の対象エリアです。地域全体として航空宇宙産業の集積が進められています。こうした認証取得は、設備投資や品質・安全管理の体制が一定水準以上に整っていることの裏付けともいえます。単純な「危険できつい現場」ではなく、精密さと安全管理が求められる技術職としての側面が強まっているのが、あま市の金属加工産業の今の姿です。
金属加工で働くメリット
高い技術力に触れられる
精密金型や航空宇宙分野の部品づくりなど、専門性の高い技術に日々の業務を通じて触れることができます。
品質・安全管理体制が整っている企業がある
JISQ9100など航空宇宙分野の認証を取得している企業もあり、設備・管理体制の整備が進んでいます。
手に職がつくものづくりの仕事
図面の読み取りや加工技術など、経験を積むほどに専門性が身につく仕事内容です。
ここまで食品・金属それぞれの仕事内容やメリットを見てきました。ここからは「自分にも向いているのか」という視点で、あま市の製造業に向いている人物像を具体的に紹介します。
⑤ あま市の製造業はこんな人におすすめ
あま市の製造業は、幅広い層の求職者にとって選択肢となり得る環境です。どんな方に向いているか、具体的にご紹介します。
製造業未経験からものづくりに挑戦したい人
工程が分業化されている企業が多く、未経験からでも一つずつ業務を覚えていきやすい環境が整っています。
30〜40代でキャリアを見直したい人
老舗・中小企業が中心のあま市では、年齢よりも意欲や適性を重視する採用傾向がみられます。
食品や金属など地域産業に関心がある女性
パック詰めや検査工程など、体力面での負担が比較的少ない業務もあり、女性が活躍している企業もあります。
名古屋近郊で腰を据えて働きたい人
名古屋駅まで20〜30分というアクセスの良さを活かしつつ、地元に根ざした企業で長く働きたい方に向いています。
子育てをしながら安定した仕事を探している人
あま市には子どもの医療費が原則無料になる支援制度があり、子育て世帯が働きやすい環境が整っています。
先ほど紹介した人物像の中でも、多くの方が気になるのは「未経験でも本当に大丈夫なのか」「30代・40代でも採用されるのか」という点です。ここでは、あま市の中小製造業における採用の実態を詳しく見ていきます。
⑥ 未経験・30〜40代でも転職できる?あま市の中小製造業の採用実態
あま市の製造業は、老舗・中小企業が中心という特性上、大手企業とは異なる採用の考え方を持つ企業が多く見られます。長年の事業運営のなかで技術やノウハウを継承していく必要があるためです。経験年数よりも「これから育てていける人材か」という視点で採用を検討する企業も少なくありません。
そのため、製造業での実務経験がない方や、30代・40代で異業種からのキャリアチェンジを考えている方でも、応募の選択肢に入りやすい傾向があります。研修やOJTを通じて基礎から業務を覚えていける体制を持つ企業もあり、まずは気になる求人情報を確認してみることをおすすめします。
未経験からの転職を考えている方は、未経験歓迎の中小企業紹介もあわせて参考にしてみてください。
年齢や経験にとらわれすぎず挑戦できることがわかったところで、次はいよいよ具体的な企業に目を向けてみましょう。あま市で実際に事業を営む企業を、「食品」「金型・自動車部品・プレス加工」「航空宇宙・精密加工」という3つの分野に分けてご紹介します。
⑦ あま市で働ける注目企業|味噌・醤油・精肉・菓子の食品メーカー
旧七宝町エリアを中心に根付く食品関連の企業です。明治期に創業した醸造蔵から、菓子のOEM製造を強みにする工場まで、いずれも地域で長く事業を続けてきた会社が並びます。原料の仕込みから製品化までの工程が分かれているため、未経験でも一つずつ覚えていきやすい分野です。
佐藤醸造株式会社|愛知県あま市の味噌・たまり醤油の醸造
1874年(明治7年)3月創業の味噌・たまり醤油の蔵元です。会社設立は昭和23年10月、資本金は1,000万円、従業員数は37名。本社は愛知県あま市七宝町安松縣にあり、敷地6,950㎡・建物4,208㎡の規模で醸造を行っています。代表取締役会長は佐藤敬治氏、代表取締役社長は佐藤亮治氏で、現社長は第6代当主にあたります。
公式サイトでは、昭和初期には尾州地区に20社を超える味噌・醤油の蔵元があったものの、時代の移り変わりとともに現在は同社を残すのみとなったと説明されています。製造品目はみそ・しょうゆ・その他調味料(つゆ・たれ等)で、販売地域は東海・北陸から関東、四国・九州にまで広がります。味噌・醤油・調味料の製造において食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」の認証を取得しており、社訓「よい品を、真心込めて」のもとで衛生管理の体制を整えています。伝統的な製法を守りながら、国際規格に沿った品質管理を学べる環境です。
本社所在地: 愛知県あま市七宝町安松縣2743番地
主な事業: みそ・しょうゆ・その他調味料の製造
公式URL: https://www.shippomiso.com/
株式会社井村食品|愛知県あま市のホルモン卸・飲食店経営
ホルモンをはじめとした内臓系を専門とする食肉卸会社です。設立は平成24年5月、資本金は500万円、代表取締役は井村繁廣氏。本社は愛知県あま市西今宿平割三にあります。公式サイトでは「ホルモンにこだわり60余年」と、先代から事業を引き継いできたことが示されています。
事業内容は食肉および食肉加工食品の販売、食料品の販売、飲食店の経営です。卸売だけでなく自社でホルモン専門店「ひとすじ」を運営しており、名古屋市中区丸の内の本店を中心に店舗を構えています。「日々劣化を続けるホルモンの味を引き出す上で重要なのは鮮度」という考えのもと、市場から運ばれた時点での処理工程と鮮度管理に力を入れている会社です。加工・卸から店舗での提供までを一社で手がけているため、食品づくりの川上から川下までを見渡せる点が特徴といえます。
本社所在地: 愛知県あま市西今宿平割三33-1
主な事業: 食肉および食肉加工食品の販売・食料品の販売・飲食店の経営
公式URL: https://www.hitosuji.jp/
株式会社岩月屋|愛知県あま市のラスク・焼菓子の製造
先代社長が昭和45年に菓子卸売業として創業し、昭和48年5月に設立された菓子メーカーです。資本金は500万円、代表取締役は加藤寛雅氏、従業員数は38名。本社・工場は愛知県あま市木折戸井田にあり、日本菓子工業会とあま市商工会に加入しています。
事業は菓子製造業と菓子卸売業で、取扱製品はラスク・シリアルバー・グラノーラ・ナッツ類です。看板商品はクリームを一枚一枚ナイフで手塗りするクリームラスクで、機械では再現しにくいピューレやペーストを使った味づくりも手塗りで仕上げています。小ロットのOEM・ODMに対応できることを強みとしており、有機JAS認定工場(JI170810PR)とJFS-B規格認証(JFS-B25003316)を取得しています。ラスクの土台となるパン生地づくりは発酵の具合や天候で仕上がりが変わるため熟練の職人が担う工程で、菓子づくりの技術を積み上げていける現場です。
本社所在地: 愛知県あま市木折戸井田23
主な事業: 菓子製造業(ラスク・シリアルバー・グラノーラ)・菓子卸売業
公式URL: https://iwatsukiya.net/
⑧ あま市で働ける注目企業|金型・自動車部品・プレス加工
旧美和町エリアを中心に集まる、金型製作とプレス加工の企業です。自動車部品や空調機器の部品を手がける会社が多く、図面を読み取り機械を動かす技術が身につく領域です。創業から数十年を重ねた中小企業が中心で、工程の前後まで含めて経験を積みやすい環境が多く見られます。
株式会社竹内金型製作所|愛知県あま市のプラスチック射出成形用金型
昭和45年2月創業の金型メーカーです。資本金は1,000万円、従業員数は25名、代表取締役社長は竹内芳一氏。本社は愛知県あま市七宝町川部四反田にあり、敷地3,550㎡・建物1,980㎡の規模です。
事業はプラスチック射出成型用金型の設計・製作。営業品目は自動車部品・住設・家電・OA機器・コンテナ・工業部品・家庭用品と幅広く、身近な製品を形づくる金型を手がけています。「金型はものづくりの原点である」という考えを掲げ、高速マシニングセンタを中心にCAD/CAM・放電加工・ワイヤーカット放電加工などの設備を整備。公式サイトでは「半世紀以上の経験で蓄積された加工ノウハウと、職人による精密な作業品質」が基盤だと説明されています。金型づくりは一つとして同じ答えのない仕事とされており、材料特性や成形挙動まで理解したうえで工法を選ぶ力が求められる現場です。
本社所在地: 愛知県あま市七宝町川部四反田27番地
主な事業: プラスチック射出成型用金型の設計・製作
公式URL: http://www.tkss.co.jp/
株式会社進和金型|愛知県あま市の自動車部品用の金型製作
1978年設立の金型メーカーです。資本金は1,500万円で、東海電装株式会社の100%出資会社にあたります。代表取締役は吉田清智氏、従業員数は18人。本社は愛知県あま市七宝町下田山にあります。
事業内容は金型製作で、車のテールランプなど自動車の部品に使われる金型を手がけています。設計 → プログラム作成 → 加工 → 仕上 → 組付け・完成という工程をすべて自社で一貫して行うのが特徴で、立形マシニングセンターやフライス、溶接機、旋盤といった設備を自社に備えています。「圧倒的な品質の良さ」を売りに掲げ、モデリングから職人の手仕上げまで各工程にこだわる姿勢を示しています。少人数の体制のため、金型づくりの一部分だけでなく前後の工程まで含めて経験を積みやすい環境です。
本社所在地: 愛知県あま市七宝町下田山58
主な事業: 自動車部品用を中心とした金型製作
公式URL: https://www.shinwa-mold.co.jp/
株式会社美和製作所|愛知県あま市の自動車・空調機器の部品製造
1942年4月に愛知県海部郡美和町で「美和航機製作所」として創立され、1946年1月に美和製作所へ改称、1959年6月に法人組織へ変更して株式会社美和製作所となりました。資本金は7,200万円、従業員数は280名(2024年4月現在)、代表者は山田恭敬氏。本社は愛知県あま市篠田遠原にあり、2022年4月に創立80周年を迎えています。
事業内容は自動車・空調機器の部品製造で、主要取引先には三菱自動車工業株式会社、豊臣機工株式会社、株式会社ヨロズ、株式会社エイチワン、三菱重工業株式会社が並びます。2016年2月にはトランスファプレスを導入し専用工場を新設、2015年12月にはインドネシアに現地法人PT.MIWA.ASALTA MANUFACTURINGを設立しました。ISO9001・ISO14001を取得し、2011年に愛知ブランド企業、2018年に地域未来牽引企業の認定を受けています。2023年8月にSBT認定、2024年2月にファミリーフレンドリー企業登録と、環境・働き方の両面で外部認定を重ねている会社です。
本社所在地: 愛知県あま市篠田遠原1番地
主な事業: 自動車・空調機器の部品製造
公式URL: https://www.miwasei.co.jp/
株式会社河村産業所|愛知県あま市の深絞りプレス加工・総合建設
昭和13年4月に「河村重工業所」として現在地で創立され、昭和20年に土建部を併設して河村産業所へ改称した会社です。資本金は1億円、従業員数は280名(2024年6月現在)。本社は愛知県あま市下萱津替地にあり、ほかに鉄工事業部の富山工場・大沢野工場(いずれも富山県富山市)、建設事業部の名古屋支店・三重支店を構えています。
鉄工事業部と建設事業部の2本柱で事業を営んでおり、製造業として関わるのは前者です。鉄工事業部は板金プレス加工・溶接組立加工・金型治工具・樹脂成形を手がけ、創業期から築き上げた深絞り技術により最大ベットサイズ5.5m×2.5mの大面積深絞りプレス加工に対応しています。35t〜2000tのプレス設備や2次元・3次元レーザー加工機を備え、自動車部品・空調機器部品から航空機の部品まで製造。取引先には三菱ふそうトラック・バス、三菱重工サーマルシステムズ、三菱自動車工業、プレス工業などが並び、独自の強みを持つ企業として愛知ブランド企業に認定されています。建設事業部は総合建設業で、官公庁からの受注も手がけています。
本社所在地: 愛知県あま市下萱津替地1104番地
主な事業: 板金プレス加工・溶接組立加工・金型治工具・樹脂成形(鉄工事業部)/総合建設業(建設事業部)
公式URL: http://www.kawamura-ss.co.jp/
⑨ あま市で働ける注目企業|航空宇宙・精密加工
国が指定する「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」の対象エリアという地域特性を映して、あま市には航空宇宙分野の品質マネジメント認証を持つ企業が複数あります。精密な切削加工や表面処理で、高付加価値な領域に向かう3社です。
株式会社三光製作所|愛知県あま市のロケットエンジンの超精密部品
1956年に名古屋市中区で「奥村鉄工所」として開業し、1959年に名古屋市熱田区で合資会社三光製作所を設立、同年に三菱重工業との取引を開始しました。1967年に株式会社化、1970年に海部郡七宝町へ工場を移転し、2010年に各工場を統合してあま市七宝町安松に本社工場を設立しています。資本金は3,000万円、売上は22億2,500万円(2025年度)、従業員数は65名(2026年7月時点)、代表取締役は奥村栄治氏です。
事業内容はLE-5B・LE-9エンジンの超精密部品などの製造です。1975年にロケット部品の試作段階から参入し、1986年のH1ロケット試験機1号機、2001年のH2Aロケット試験機1号機、2024年のH3ロケット試験機2号機の成功にともない、三菱重工業・宇宙開発事業団・宇宙航空研究開発機構(JAXA)から表彰を受けてきました。2006年には航空宇宙・防衛産業向けの品質マネジメントシステム規格JISQ9100を認証取得。主な取引先は三菱重工業、愛知時計電機、旭化成、横浜ゴムです。売上高100億円規模を目指す「100億宣言」を掲げ、技術力の強化と人材育成に継続して取り組む方針を公表しています。
本社所在地: 愛知県あま市七宝町安松三丁目9番地
主な事業: ロケットエンジン(LE-5B・LE-9)の超精密部品製造
公式URL: https://sankomfg.co.jp/
株式会社弘和テック|愛知県あま市の航空宇宙・医療機器の精密切削
1965年に「林鉄工所」として創業し、包装機部品の生産から始まった会社です。1989年に設立、1990年に株式会社弘和鉄工所へ、2021年に株式会社弘和テックへ社名変更しました。資本金は1,000万円、代表取締役は林俊信氏。本社は愛知県あま市富塚布内にあります。
業務内容は精密部品の切削加工で、対象は航空宇宙・医療機器・半導体・防衛・次世代産業(EVや水素関連部品など)と幅広い分野にまたがります。2005年に5軸マシニングセンター加工機を導入して航空機部品の生産を開始し、2009年にISO9001、2010年にJISQ9100、2012年に医療機器製造業許可を取得。2023年に第3工場を増築、2024年に第4工場を開設と設備投資を続けており、累計の取引企業は160社に達しています。2020年に愛知県ファミリー・フレンドリー企業、2022年に健康経営優良法人の認定を受け、全社員への月5,000円の食事手当や健康的な弁当の提供といった制度も整えています。2024年にはSBTi認定を取得し、工場屋根の太陽光発電や全照明のLED化を進めています。
本社所在地: 愛知県あま市富塚布内13番地
主な事業: 精密部品切削加工(航空宇宙・医療機器・半導体・防衛・次世代産業)
公式URL: https://www.kouwa-tec.co.jp/
アルパ工業株式会社|愛知県あま市のアルマイト処理・精密板金加工
沿革によると1956年に名古屋市中村区で「合資会社大栄ネーム」としてネームプレート業を創業し、1969年9月に七宝工場へ移転、1983年9月にアルパ工業株式会社を設立しました。資本金は5,000万円、代表取締役は柴田昭彦氏、従業員数は19名(うちパート1名)。本社は愛知県あま市七宝町川部埋田にあり、2023年8月に西側社屋が竣工しています。
営業内容は金属・樹脂・シール材等のネームプレート製造、NC彫刻・エッチング、高級金属パネル、各種機器用の板金・機械加工部品、サッシ等の押出型材加工部品、そして硫酸アルマイト・硬質アルマイト・無機着色アルマイト・カラーアルマイトといった表面処理です。代表挨拶では「アルマイト処理・精密板金加工・機械加工・印刷・塗装などを内製化して現在に至る」と説明されており、工程を社内に揃えた小回りの利く町工場であることが特徴です。あま市公式サイトの「スゴ技」でも紹介されています。「確かな技術・先読みと臨機応変の経営・安心安定の労働環境」を掲げ、100年企業を目標に据えています。
本社所在地: 愛知県あま市七宝町川部埋田52
主な事業: ネームプレート製造・精密板金/機械加工・アルマイト処理
公式URL: https://www.alpakk.com/
名古屋20分・老舗企業が支える、あま市の「安定したものづくり」
あま市は、名古屋駅まで20〜30分という通勤しやすい立地にありながら、七宝焼の伝統から続く「金属のまち」としての歴史を持つ町です。あわせて味噌・醤油・精肉といった食品産業の老舗企業も根付く、ものづくりの町でもあります。食品工場・金属加工工場それぞれに「きつい」「危険」といったイメージが先行しがちですが、実際には分業体制や品質管理の仕組みが整った企業も少なくありません。未経験や30〜40代からの転職でも、選択肢になり得る環境が広がっています。
「製造業=きつい」というイメージだけで選択肢から外してしまうのは、少しもったいないかもしれません。まずは記事内で紹介した企業の求人情報を覗いてみるところから、あま市での自分に合った働き方を探してみてはいかがでしょうか。