採用活動を始めようとすると、まず悩むのが「どの求人媒体を選べばいいのか」という問題です。Indeedと求人サイトはどちらが安いのか分からない、人材紹介の成功報酬30〜35%は高すぎるのではないか、ハローワークは無料だが本当に使えるのか――こうした疑問を持つ経営者・採用担当者は少なくありません。
費用の高い・安いだけで媒体を選んでしまうと、採用人数や職種に合わない選択をしてしまい、結果的に採用コストが膨らむこともあります。本記事では、Indeed・大手求人サイト・人材紹介・ハローワーク・採用メディアの費用構造の違いを整理します。そのうえで、採用人数や職種に当てはめたときにどう意思決定すればよいかまで踏み込んで解説します。特に愛知県内の中小企業では、採用予算や採用担当者の人数に限りがあることも多く、媒体選びの判断基準をあらかじめ持っておくことが重要になります。
求人媒体の種類と費用構造の比較
媒体ごとの課金方式の違い
求人媒体は課金方式によって大きく4つに分けられます。クリック課金型(Indeed)、掲載課金型(大手求人サイト)、成功報酬型(人材紹介)、固定月額制(採用メディア)、そして無料で利用できるハローワークです。それぞれの特徴を整理すると、以下のようになります。
| 媒体 |
課金方式 |
費用が発生するタイミング |
| Indeed |
クリック課金型 |
求職者がクリックした時点 |
| 大手求人サイト |
掲載課金型 |
掲載期間(4週間単位など)に応じて事前支払い |
| 人材紹介 |
成功報酬型 |
採用(入社)が決まった時点 |
| ハローワーク |
無料 |
費用は発生しない |
| 採用メディア |
固定月額制 |
利用期間に応じて月額課金 |
費用比較で見落とされがちな「運用の工数」コスト
媒体選びでは掲載費や成功報酬といった「見える費用」に注目しがちですが、実際には求人原稿の作成・応募対応・媒体ごとの管理画面の操作といった「運用の工数」も無視できないコストになります。媒体を変えても工数ばかり増えて採用の成果が変わらない、という声も多く聞かれます。費用比較をする際は、金額だけでなく自社の運用体制に見合った媒体かどうかも合わせて検討しましょう。原稿作成の外注や応募者管理システムの活用など、工数を抑える工夫も組み合わせたいところです。採用ページそのものの整備状況によっても媒体の効果は変わるため、採用サイトは必要か|費用相場と作るべきタイミングも参考にしてください。
Indeed
掲載方法と費用の仕組み
Indeedは求人を無料で掲載できる点が大きな特徴で、費用が発生するのは「スポンサー求人」というオプションを利用した場合のみです。スポンサー求人はクリック課金型で、求職者が求人をクリックした時点でのみ費用が発生する仕組みになっています。クリック単価は職種によって幅があり、採用関連メディアの解説によると、事務職で100〜200円程度、介護職で200〜500円程度、ITエンジニアで350〜500円程度、製造・施工管理系で400〜600円程度とされています。クリック単価は現在AIによる自動入札で決まる仕組みになっており、競合の出稿状況や応募状況によって変動するため、同じ職種でも地域や時期によって差が出やすい点に留意しておきましょう。
2025年6月の無料掲載終了で何が変わったか
これまでIndeedには、企業が意識せずともウェブクロール経由で求人情報が自動的に掲載される仕組みがありました。この無料のクローリング経由掲載は2025年6月末に終了したとされており、複数の採用関連メディアでも同様の情報が報じられています(一部では異なる時期を示す情報もあるため、最新の公式情報は都度確認してください)。この変更により、今後Indeedに求人を掲載する場合は、自社で求人情報を直接投稿する運用が基本になると考えておいたほうがよいでしょう。
Indeedが向いている採用シーン
向いているケース
掲載自体は無料のため、まずは求人を出してみたい企業や、採用予算を抑えたい中小企業に向いています。クリック課金のため、閲覧だけされて応募につながらない場合は費用がかかりません。
注意点
スポンサー求人を使わない場合は表示順位が下がりやすく、応募が集まりにくいこともあります。求人原稿の作り込みや運用の手間がかかる点も踏まえておきましょう。
大手求人サイト
掲載課金の仕組みと費用感
Indeedが掲載無料・クリック課金であるのに対し、マイナビ転職・エン転職・type・dodaといった大手求人サイトは掲載課金制が主流で、4週間などの期間単位で料金が決まります。各社の公式料金ページを確認すると、typeは4週間・2職種までの掲載で35万〜100万円程度、エン転職は掲載する地域によって24万〜120万円程度(全国版や関東版は高め、東海版・九州版はやや低めの価格帯)となっています。なお、同じ4週間掲載でも、職種掲載数やオプションの有無によって料金が変動するため、見積もり時に条件をよく確認する必要があります。マイナビ転職は公式には「20万円(税抜)〜」という表記のみで、代理店情報を含めるとおおよそ20万〜120万円程度の幅があるとされています。いずれも掲載前に費用が確定するため、採用人数にかかわらず一定のコストが発生する点は押さえておきましょう。
求人票の作り込みが費用対効果を左右する
大手求人サイトは知名度が高く、閲覧数そのものは期待できる媒体です。ただ、知名度だけで選んでしまい、求人票の内容が薄いまま掲載して応募が集まらない、という失敗パターンも少なくありません。掲載費用をかけても、仕事内容や職場環境が求職者に伝わらなければ応募には結びつきません。原稿の書き方次第で反応が大きく変わるため、求人票の書き方|応募ゼロを変えた愛知の中小企業の実例も合わせて確認しておくと、掲載費用を無駄にしにくくなります。求人サイトは掲載期間が限られるため、掲載中にどれだけ応募を集められるかという運用計画も費用対効果に直結します。
人材紹介(成功報酬)
成功報酬の相場とその根拠
掲載費をかけても応募が集まらないリスクを避けたい企業の候補になるのが、採用が決まった時点で費用が発生する成功報酬型の人材紹介です。相場としては理論年収の30〜35%程度が業界内で広く語られています。厚生労働省が委託した調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、2022年実施)では、分野によって手数料率に差があり、医療・介護・保育分野では平均23〜25%程度、その他の分野では平均27〜32%程度という結果が示されています。職業紹介の手数料には「上限制」(賃金の11.0%程度が上限)と「届出制」(事業者が独自に届け出た手数料表の範囲内で設定する方式)の2種類があります。30〜35%という相場観の多くは、この届出制に基づくものです。紹介会社によって手数料率や対応範囲が異なるため、複数社から見積もりを取り、条件を比較してから契約することが望ましいでしょう。
人材紹介が向いている採用・向かない採用
向いている採用
専門職・管理職・即戦力人材など、採用難易度が高い職種に向いているとされています。採用できなければ費用が発生しないため、予算リスクを抑えたい場合にもメリットがあります。書類選考から面接設定まで紹介会社が代行してくれるケースも多く、採用担当者の負担軽減にもつながります。
向かない採用
大量採用や、採用単価をできるだけ抑えたい職種では、1名あたりの成功報酬が高額になりやすく、コスト効率が悪くなりやすい傾向があります。
ハローワーク
無料で使える理由(職業安定法)
人材紹介や求人サイトのような費用をかけずに採用活動を始めたい企業にとって選択肢になるのが、職業安定法に基づき無料の職業紹介を行うハローワーク(公共職業安定所)です。求人掲載・紹介ともに費用はかからず、採用予算が限られる中小企業にとっては利用しやすい選択肢のひとつです。近年はハローワークの求人情報がIndeedなど民間の求人サイトにも掲載連携されるようになっており、間接的に閲覧数を増やせる場合もあります。
ハローワーク単体で採用が進みにくいケース
向いているケース
採用コストを抑えたい場合や、地域に密着した人材を探したい場合に活用しやすい選択肢です。無料で複数の求人を出せる点もメリットになります。
限界として指摘される点
求人数が多いため自社の求人が埋もれやすく、テキスト中心の求人情報では訴求力が弱くなりがちという指摘があります。専門職や若年層の採用、あるいは採用を急ぐ場合は、他媒体と並行して利用し、応募経路を複数確保しておくことが現実的な対応になります。
採用メディア
月額固定制という仕組み
ここまでの4媒体が応募数の確保を重視するのに対し、社風や働き方の訴求を重視するのがWantedlyなどに代表される採用メディアです。成功報酬なしの月額固定制で運用されることが多く、複数の比較メディアの情報によると、月額5万円台〜20万円程度の幅があるとされています(公式な最終確認はされていないため、あくまで目安として捉えてください)。カジュアル面談文化を活かした、応募の前段階での接点づくりに向いています。多くの媒体でプランによって機能やサポート内容が異なるため、自社の採用フェーズに合ったプランを選びましょう。
採用メディアが向いている企業・向かない企業
向いている企業
社風や働き方を丁寧に伝えたい企業、採用ブランディングに取り組みたい企業に向いています。継続的に情報発信できる体制があると、より効果を発揮しやすいでしょう。採用担当者自身がSNSやブログで情報発信するなど、日常的な広報活動と相性がよい企業にも適しています。
向かない企業
すぐに大量採用したい企業や、情報発信の運用に手間をかけられない企業では、月額費用に対して効果を実感しにくいこともあります。
採用人数・職種別のおすすめ組み合わせ
ここまで5つの媒体それぞれの特徴を見てきました。実際にどう組み合わせるかは、採用人数と職種によって変わってきます。
採用人数で変わる媒体の選び方
採用人数が多いほど、応募母数を確保しやすいIndeedや求人サイト、ハローワークを組み合わせる運用が実務上よく使われるとされています。一方、採用人数が1〜2名程度で専門性の高い人材を狙う場合は、人材紹介や採用メディアが候補になります。これらは応募の質を重視できる媒体のため、費用対効果を見込みやすい傾向があります。採用計画の初期段階で、想定する採用人数と職種を整理しておくと、媒体選びの精度が上がりやすくなります。
職種で変わる媒体の選び方
職種によっても向き不向きがあります。営業・事務・販売職のように応募母数が確保しやすい職種はIndeedや求人サイトが使いやすく、専門職・管理職・即戦力人材は人材紹介や採用メディアが候補になりやすいでしょう。
| 採用人数・職種 |
おすすめの組み合わせ |
ポイント |
| 大量採用(営業・事務・販売等) |
Indeed+求人サイト+ハローワーク |
応募母数の確保を優先する |
| 少人数・専門職・管理職 |
人材紹介+採用メディア |
採用の質とリスク低減を優先する |
| 若手・社風重視の採用 |
採用メディア+Indeed |
社風の訴求とカジュアル接点づくりを両立する |
| 予算を抑えたい初回採用 |
ハローワーク+Indeed |
費用を抑えつつ求人の露出を確保する |
複数媒体を併用する際の注意点
複数媒体を併用すると露出は増えますが、求人原稿の管理や応募対応の工数も比例して増えやすくなります。採用担当者が一人で運用している企業では、媒体を増やしすぎることでむしろ対応が追いつかず、応募者への返信が遅れるなどの弊害が出ることもあります。媒体を選ぶ際は、費用だけでなく自社の運用体制で無理なく回せる組み合わせかどうかも確認しましょう。無理に媒体を増やすより、まず1〜2媒体に絞って運用し、応募状況を見ながら追加・入れ替えを検討する進め方のほうが、工数を抑えつつ併用を試しやすくなります。その候補のひとつとして、Indeedや大手求人サイトに加えて、地域に特化した求人メディアを比較検討先に入れておくと、選択肢が広がる場合もあります。
求人媒体を比較して「向き不向き」で選ぶ
求人媒体はそれぞれ費用構造が異なり、単純な金額の比較だけでは最適な選択はできません。Indeedは無料掲載とクリック課金、求人サイトは掲載課金、人材紹介は成功報酬、ハローワークは無料、採用メディアは月額固定制と、課金のタイミングも仕組みも異なります。採用人数・職種・自社の運用工数を踏まえて、媒体ごとの向き不向きを見極めながら組み合わせを決めることが、結果的に採用コストを抑える近道になります。媒体を一つに絞らず、状況に応じて見直していく姿勢も、採用の成功率を高めます。まずは直近で採用したい人数・職種を書き出し、本記事の組み合わせ表に当てはめてみることから始めましょう。